2011年06月

2011年06月26日


「なずな」堀江敏幸■読み進むごとに、分厚い本の上を琹がラストへむかって移動していく。そのことはあたりまえなんだけど、琹の移動がこんなに寂しいと思った本はこれが初めてかも。(ああ、1800円もした本がもう終わっちゃうー、と貧乏性が顔を覗かせたことは何度もあるが。)小さな赤ちゃん、なずなと、事情があってなずなの面倒を見ている、主人公の伯父。そのふたりの周りの人々。彼らひとりひとりと別れるのが寂しくて、残り数ページはその寂しさで泣けてしまったほど。優しくて奥ゆかしくてユーモアのある人々の時間が、なずなの成長とともに静かに流れてく。その時間1秒1秒が、あんまりにも温かくて愛おしい。書き抜いておきたい文章も多々あった。

「ふがいない僕は空を見た」窪美澄■あんまり話題になっているから、読もうかどうしようか、やっぱ読んどきたいなあ、と思ったら家にあった。さびれた街で、鬱屈した毎日を送る高校生やその周りの人々が、小さなきっかけや産まれくる命に救われる…ありきたりっちゃあ、ありきたりなストーリーなのだけど、作者の想いがストレートに伝わってくる、とても熱い小説であった。不覚にも泣いてしまった場面も。

「日の名残り」カズオ・イシグロ
■17年ほど前、映画を先に観た。嗚咽をこらえねばならないほどの感動が体中に走った。静かに流れる執事と女中頭の関係の裏にある、あまりに深くて切なくて美しい、絆。小説は映画を観たあと読んだはずだけど、まあ、それでも15年ぶりくらいだったか。最後100ページくらいからは加速度を増して執事の想いが伝わってきて、女中頭との会話だけで泣けてきて、最後数十ページはもう、信じられないくらい、小説のなかに入り込んで、「そうくるか!」という結末を迎える。すごい。いつ読んでもすごい小説だ。映画もまた観なくっては。

ライブ
氷室京介 東日本大震災復興支援チャリティライブ KYOSUKE HIMURO GIG at TOKYO DOME  “We Are Down But Never Give Up!!”■まあ、あれです。語りだしたらキリがないが。LAST GIGS に行ってから23年。「21 Centry Boowys VS HIMURO」から7年。またこんな日がやってくるとは。次は再結成で観たい。

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